今日もまた、大通りの交差点で
足止めされる信号待ち。
絢はこれからの事を考えているようで、
いつも以上にニコニコしている。
「絢」
「ん?」
可愛らしい笑顔で振り向かれると、
一瞬、悪魔魂が揺らぎそうに。
「何?……ん?」
繋いでいる手をギュッと握り返す絢。
そんな彼女に愛の深さを試したくなる。
「俺達………別れようか」
「………へ?」
俺の一言で愛らしい笑顔は一瞬で消え、
俺を見つめる瞳に涙が浮かぶ。
「えっ……どっ、どう…して?」
今にも零れ落ちそうな涙を
瞬きもせず、必死に堪えて。
信号機は青になり、周りの人々が歩き出す中、
俺と彼女だけが取り残された。
下唇を噛みしめ、必死に泣かずにいる絢。
――――ちょっと苛めすぎたか?
そんな事を考えながら……。



