3月14日 ホワイトデー
放課後、絢の教室へ。
ドアを少し開けて、
「絢、帰るぞ」
「うん!!」
ユウの彼女と話をしていた絢は
「ユズ、また明日」
「うん、また明日~」
可愛らしく笑顔で手を振り、
鞄を持って俺のもとへ駆け寄って来る。
「「「キャアァ~神宮寺君だぁ~」」」
毎度毎度、耳障りな声に反応して
無意識に王子スマイルを作る俺。
絢の手をしっかり握った俺は、
「気をつけて帰るんだよ~」
捨てゼリフを残して、颯爽と歩き出す。
背後から“キャァ~”という
悲鳴にも似た黄色い声を浴びながら。
そんな俺を冷やかな目で見る絢。
―――――何だか、腹が立つ。
俺の悪魔魂に火が点いたらしい。
フッ、今日はホワイトデーだから
苛めるのは止めてやろうと思ったのに。



