「け、慧くん?」
潤んだ瞳で俺を見る。
「そんな瞳で見んなって」
「えっ?」
「別に何もしないとは言ってない」
「………」
絢は疑うような眼差しを向けて来た。
「こういう事は当日のお楽しみじゃねぇのかよ」
「ッ?!……うっ……うん」
絢は納得したような、
それでいて疑うような
腑に落ちない表情を浮かべた。
まぁ、実際、俺なりに考えてはいる。
絢が俺に愛情を示してくれたように
俺も何かしなきゃなぁ……と。
オレンジジュースを口にした絢に
「木曜日は空けとけよ」
「んッ?!う、うん!!」
「フッ、絢、顔に出過ぎ」
「だっ、だって~////」
満面の笑顔で嬉しがる彼女に
自然と俺の心が満たされる。
俺にとって唯一の女で
―――――最高の女。
そして、恐らく
――――――――最後の女?



