「不便じゃね?しゃべれねぇとか。
どうやって会話すんの?」




黙ってあたしは携帯を取り出して、
文字を打ち込んだ。




"こうやって会話するの。"




その文字を見た真面目男子が納得したように頷く。




続けて、今度はメモ帳を取り出してそこにシャーペンで文字を書く。




"不便だけど、
字はちょっと上手くなったよ!"




「へぇ、あんた前向きだな。
俺だったらダルくて人と関わんのも絶対めんどくさくなる。」




"前向きでなきゃやってらんないよ。"




「だろうな。
でもやっぱ面倒だろ。
よくそんな平気でいられるな。」




"あたしは、声がなくなることよりも
もっと嫌な事を経験したから。
しゃべれないくらい、どうってことないんだよ。"




真面目男子は、結構聞き上手かもしれない。
なんか言わなくていいことまで言ってる気がする。




しかもなんか、一緒にいて落ち着くのは気のせいか。
っていうか本人自体が落ち着いてるというかボーっとしてるというか。
その雰囲気に飲み込まれていってる気がする。




"大げさに言ってしまえば、
声なんてなくても別に生きてけるよ。
心臓あるんだから!"




そう言って、おどけて笑ってみせれば、
不思議男子はパチパチと、
さっきのおさげ女子みたいに目を瞬かせて、
そして、