けれど、真面目男子はまた
不思議そうな表情を浮かべる。




「お前、しゃべらねぇな。」




あぁ、まぁ、さっきから苦笑いしたり頷いたりしかしてないからね。
気づかれてもおかしくないのか。




あたしはまた、苦笑いした。




「あ、もしかしてお前転校生?
この前来た転校生はしゃべれねぇって誰か言ってたし。」




すると、すぐ後ろから
「え、しゃべれねぇのか?」と声がしたと思って振り向けば
さっきのおさげ女子がいた。




「電話終わったんか。」




「充電、なかった…。」




ちょっと落ち込み気味に、
目を潤ませて言うおさげ女子に
溜め息をついた真面目男子が黙って携帯を差し出した。




「ありがと。」




あら、意外にこの子可愛いかも。




よく見たら目パッチリだし、
女子にしては身長は高めだし
肩幅も広い感じがするけど
なんか可愛いよ、この子。




おさげ女子は、真面目男子の携帯を握って、
さっきいた渡り廊下の端っこまで戻っていったが、
またつまづいていた。




やっぱりあの子…




「なんでしゃべれねぇの?」




じっと後ろ姿を見ていたが、
突然真面目男子に質問されてすぐに前へ向き直った。




っていうか、またその質問かい。
神谷も伊月もこいつも、
遠慮って言葉を知らねぇのか!