そのまま校内を走り回り、やっと足を止めたのは
もといた渡り廊下。




そこまでの距離は走っていないから、
息はすぐに整った。




でも、真面目男子の方はかなり疲れたような顔をしている。




あんた男でしょうが。もっとシャキッとしろ。




それに比べておさげ女子。




「助かった、礼を言う。
あ、いや、助かりました、ありがとう。」




どこか凛とした雰囲気と表情。




本当にいじめられてんの?この子…




と、目の前の2人を見比べていると、
辺りに着信音が鳴り響く。




ピリリリリ、ありきたりな音が
目の前で鳴っている。




「あ、お、私か。」




…何噛んでんの、この子。




おさげ女子は、ポケットから携帯を取り出すと、
ピッとボタンを押して耳に当てた。




「はい。…あ?なんで切れて…」




「お前今電源ボタン押した。」




抑揚のない声で言う真面目男子に、
おさげ女子はパチパチと瞬きして、携帯の画面を見下ろした。




「…あぁ、間違えた。」