こっぴどく、しつこく、長時間、
あたしは猛に叱られた。




携帯を学校に忘れたという嘘は信じてもらえたものの、
それでもメールの返事もなく心配させるのはダメだとか、そもそも学校に携帯を忘れるなとか、携帯もう持たせねぇぞ?とか
とにかく理不尽に怒られた。




そんな昨日の出来事を、
隣の席を借りて座る龍也君に、簡単に話した。




「あ、なんだ、あの人お兄さんだったんだ?」




兄貴じゃなけりゃ何だと思って…
まさか彼氏かなんかと思ってたんじゃないだろうね。
そうだとしたらヤダ。マジでヤダ。
あんな奴が彼氏とか、ただの勘違いでもヤダね。




苦笑いするあたしを
クラスの子たちが羨ましげに見てくる。




龍也君は今日も人気者ですねぇ。




あたしは、トイレ、と伝えて
教室を出た。




居心地が悪いったらない。
向けられる視線は羨望だけじゃない。
妬みや恨みだって。




いくら龍也君が好きでも
そこまであたしを嫌うか?




あ、そっか。
しゃべることのできない奴、という認識もあるんだよね。
そりゃあぁ見られても仕方ないわ。




でも大丈夫だもんね。
神谷とか、伊月とか、龍也君とか
良い奴だっているんだってわかったからね。