届け!

ズルズルと、家に向かって猛に引きずられる、
そんなあたしを呆然と見送る龍也君と伊月は、




「マジであいつ、誰?」




伊月が眉間にシワを寄せて、
猛と爽花の後ろ姿を眺めながら言う。




「ものすごい強面だったな…」




龍也は、猛の顔を思い浮かべて呟いた。




「でもイケメンだったぜ。」




「"俺の"って言ってたから…爽花ちゃんの彼氏…?」




「えー!?マジかよ!
さ、爽花さんに…カレシ…っ!」




龍也の疑問形に、伊月は目を見開く。




「え、なに?伊月ショックなの?」




「あったりめーだろ!?
俺の尊敬する爽花さんに
あんなことやこんなことをするような野郎がいたなんて!」




そう言いながら、伊月の鼻から
ツーっと、赤いものが流れた。




「な、伊月!鼻血!
お前爽花ちゃんの…!想像したんだろ!」




「そう言うテメェも顔真っ赤なんだよ!」




真っ赤な血を流した伊月と、
真っ赤な顔をした龍也が言い合うなか、








「"さやか"…へぇ…」


「横顔ならバッチリ見たぜ。」




猛に伸された敵が、ひっそりと




…意地の悪い笑みを浮かべるのだった。