「関係ないだと?
仲良さそうに並んで歩いてたじゃねぇか。」




「助けてくれたお礼をしようとしてたんだよ。
それだけだ。
だから何の関係もねぇんだ。」




龍也君は必死に、だけど顔には出さずに
あたしを巻き込まないようにとしてくれている。
その手は、突っかかろうとした伊月の腕を強く掴んでいた。




「関係なくてもお前ら優しいからなぁ。
関係ねぇ女の子が巻き込まれんのを黙って見てられっかねー?」




敵が一歩、こっちへ近づいた気配がした。




同時に、龍也君と伊月が構えをとる。




そのときだった。




「あ、サヤカぁぁぁー!!!
やっと見つけた!
サぁヤぁカぁぁああああ!!!」




げ、馬鹿兄貴!




「テメェどこいやがったゴルラァァア!
心配しただろうが!メールの返事もしねぇで男とイチャイチャかァアン!?ふざけてんのかオラァァアアア…あ?」




家とは反対の方向、つまりあたしが向いていた方向から
ガリ股でやってくる馬鹿、猛は
怒鳴っていたかと思えば急に動きを止めて、しかしその瞬間
ものすごいスピードで駆け寄ってきた。




動きを止めた瞬間、わずかに目が鋭くなった気がした。




「あ?誰だ?あれ。」




「爽花ちゃんの知り合い?」




そしてそのままの勢いで、あたしたちの間をすり抜け、




鈍い音が2つした。