2人が見据える先、あたしたちが歩いていた方向に
恐る恐る振り返ろうとして、
そしてピタリ、動きを止めた。




誰かがいる。
確実に。




そして、2人の表情を見る限り
良い奴ではなさそう。




感じる視線も良いものではない。




振り返、らない方が…いい。




今度は体ごと、2人に向けた。




もしかしたら、というか絶対
横顔は見られたはずだ。
でも真正面からは見られてない。




「何だよ、女連れか?」




「…ぁあん!?」




伊月が、あたしを守るように前に出た。




龍也君は、「伊月!」と叱ってから
小さく「キレるなよ。」と呟いた




「珍しいねぇ、お前らが女連れてるなんて。
どんな関係だ?」




「誰かの女だろ。
ちょっとよこせよ?」




口調からして、おそらく敵。
人数は2人で
どっちも男。




「よこせだと?
だぁーれがお前らなんかにさや――」




「この子は通りすがりの女の子だ!
俺らが困っていたのを助けてくれただけだ!関係はない。」




何かを言おうとする伊月を遮って龍也君が言う。