賀川君、優しいんだ…。
定春も、そんな賀川君が大好きなんだろうなー。
と、1人と1匹を見つめていると、
その1人が急に、
「そういや爽花さんって、
何でしゃべれねぇんすか?」
…それ、今聞く?
てか普通聞く?聞いちゃうの?
いやでも確か神谷も聞いてきたな。
この2人、似てるな。
いかにも真面目っぽい格好は
安西君も合わせて3人似てるけど、
神谷と賀川君は
なんていうか…雰囲気?
にじみ出る何かが似てる気がする。
安西君は、焦った表情で賀川君の頭をぶっ叩いた。
ものすごい音がした。
同時に、賀川君は頭を抑えて悶え始めた。
「い、てぇっ!
何すんだよコラテメェ!」
「何すんだよじゃない!
そんなこと聞くもんじゃねぇだろ!
そういうデリケートなことはもっと考えて発言しろ!」
「…チッ…
すんませぇん…さやかさぁん…」
安西君には舌打ちしといて、
あたしには捨てられた犬みたいな顔で謝る賀川君は、
どうやら相当、あたしに懐いているらしい。
