自分と、自分の上着の間に包まれた子犬を見下ろして、
少年は泣きながらまた叫ぶ。




「どうだ!あったかいだろう!
おまえ、おれんちに来い!」








―――「きょうからおまえは、おれの
かぞくだからな!」




そういって、ぼくのために
なみだをながしてくれた
いつきくん。




であったころから
かおはこわかったけど、
やさしいやさしい、いつきくん。




ぼくのかぞく。




「これが、定春と俺の出会いっす!」




たつやくんが、ながいうでをのばして
ぼくのあたまを
そーっとなでた。




さやかちゃんは、ぼくをみて
ニッコリわらった。




よかったね、だって。




こえには、ださなかったけど
なんとなくわかった。




『ワン!』




へんじすれば、さやかちゃんは
またニッコリわらった。