ちょっと感心しながら、あたしたち3人と1匹の円の中に置かれたお菓子を掴む。




ボリボリと右手でポテトチップスを食べながら、
慣れない左手で紙を取り出し、左手で字を書く。




"何で さだはるって名前なの?"




そう書いた汚い字を賀川君に見せると、彼はものすごくドヤ顔で言った。




「銀魂が好きだからだ!」




…ぎんたま、




「銀魂っつーアニメがあって、そこに登場するでかい白い犬がいるんすよ!
ソイツ、定春って名前で、だからコイツも。」




ポンポンと、定春の頭を撫でる賀川君。











ぼくのあたまを、ポンポン、やさしくなでる、ごしゅじんさま。
かっこよくて、やさしい、
ぼくのかぞくだ。




「実はコイツ、もとはノラだったんすよ。」




そう、ぼくはもともと
のらいぬだった。




すてられたんだ。




まえに、ぼくをかっていたひとに、すてられたんだ。




まだこどもだったぼくは、ちいさなダンボールのなかで、ずっとふるえてたんだ。




ふゆだったし、あめもふってたから、さむくて、さむくて。