震えながら、隣の犬を見つめていると、
どこからか、




「おい定春ー!
さーだーはーるーーー!!!」




探し人だろうか。
誰かの名前を呼ぶ大きな男の声が聞こえて来る。



隣にいる犬は
「わおおおーん!!!」反応してる。




まさか、定春ってコイツのことだったり?
いやでも、なぁー




定春、と叫ぶその声はどんどんこっちへ近づいてきている。




「わおおおーーん!ワンっ!ワンっ!」




「定春!?いるのかぁー!!
あ、定春ーーーー!!!!!」




声は、すぐ後ろの辺りから聞こえてきた。




そして、こっちへ気づいたらしい。




カサカサと草の音を鳴らして
近づいてくる気配。




「やっと見つけた!どこいたんだよ!
あ?何で濡れてんだ!?
…お前か!?テメェが定春に何かしたのか!?」




犬を、守るように抱きついたのは
肩につくくらいの赤髪をした男。




鋭い瞳をギロリとあたしに向けてくる。




慌てて首を横に振るが、
赤髪の男は眉間にシワを寄せて疑いの目を向けてくる。