5時間目。
今は英語の時間。
先生がペラペラと意味のわからないことをしゃべっているのを聞き流しながら、
頬杖をついてボーッとしていると、
突然教室の扉が静かに開いた。
目立たぬよう、静かに。
だけど教室の扉って何故かよく響く。
クラスメイトの視線がそっちへ向いた。
顔を覗かせたのは、こりゃまた…
「あ、伊月、」
あたしの隣の席を借りて座っていた安西君が小さめに呟く。
…伊月?
あれ、どっかで聞いたことがあるような。
いやでもそれよりもっ!
もっさり長い黒髪。
黒縁メガネ。
模範的制服。
そう、神谷3号が
教室の扉から顔を覗かせていた。
ちなみに神谷2号は安西君である。
3号は、教室を見渡し、
こっちへ向いた視線を固定したまま
歩み寄ってくる。
そうか。安西君か。
安西君も3号を見て
知ってる感じに、伊月って呟いてたし。