そのことについては、曖昧に笑ってごまかしておいた。




「泉ちゃんってさぁ、案外男っぽい?」




いきなりそんなことを言い出した安西君。




…間違ってねぇけど。




「あ、いや
なんか字が…俺の友達となんか似てたから…」




あたしが机に書いた字を見て言う安西君。




確かに、兄弟は全員男で、
女は母さんとあたししかいなかったし、
あいつらといたときも…女なんていなかった。




ずっと男ばかりと暮らしてきたから、
あまりあたしは女らしくない。




口調がたまに汚いのも自覚している。




あたしは、
"兄弟全員男なんだ"と、
今度は携帯で文字を打つ。




「へぇ、そうなんだ。
全員って、何人いるんだ?兄弟」




"兄3人
弟1人"



その文字を見た安西君は、驚きの声を上げて
楽しそうに笑った。




「すげぇなぁ。
ってことは5人兄弟?
賑やかで楽しそうだな。」








それから、安西君は
めんどくさがることなく、
よくあたしに話しかけてくれた。




授業中には、教科書使う?とか
休み時間になれば、お菓子いる?とか。




気は、楽だった。