安西君は、自分の席に座ったあたしについてきて、
前の杏里ちゃんの席で後ろ向きに座って、
あたしと向かい合わせになった。




「なぁな、俺、何て呼んだらいい?
泉さん?泉ちゃん?爽花ちゃん?」




安西君の問いかけに、
すぐさまシャーペンを手に持って
机に字を書く。




"何でもいい
あたしは安西君"




「そっか。じゃぁ俺は泉ちゃんって呼ぶよ。
な、泉ちゃん!」




うん、やっぱり人気者な理由がわかる。
こりゃみんな好きだわ。




思わず、その爽やかな優しい笑顔につられて
あたしも笑った。




「なんだ、泉ちゃん可愛いじゃん。」




…はい?




「いや、ずっと真顔で
全然楽しそうにしねーからさ。
でももともと可愛いんだし、もっと笑いなよ?」




か、可愛い…?




あたしが!?
この顔が!?




まぁ確かに、
一琉はすんごい美形だし、
猛は強面だけど整っている。
輝や柚瑠も。




そしたらあたしがそうだったとしてもおかしいことじゃないってことか?
いやでも、さすがに、これは有り得ん。
ぜったい、ない。