それをぐびっと一気に飲み干して、
息をひとつ、吐き出す。




「お、姉ちゃんいい飲みっぷりじゃねぇか。
ビール飲ましてみてぇもんだなぁ。」




のんきにガハガハ笑いながらオッチャン(店員)は
厨房に戻っていった。




それから隣を見てみた。




もっさりとした黒髪は
伸び放題の暴れ放題。
ボッサボサだ。
前髪も、目元まで隠してしまうくらい長い。




かけているメガネは黒縁。




着ている制服はピッチリと模範的に着こなされていて、
一言で言えば、地味。




良く言えば真面目そうなのだけど、
悪く言ってしまえば
陰気臭い雰囲気はこっちまで暗くなりそう。




だけど、




「はぁ、疲れた。
座ろうぜ。」




唐突に発せられた低い声は
この男子生徒のもの。
意外に美声だった。




一緒に空いてるテーブル席へ腰を下ろす。




向かい側に座った男子生徒は
いつの間にか
さっきオッチャンに渡された水を飲み干していたらしく、
空になったコップに水をそそぐ。




それをもう一度全部飲み干してから、
ようやくあたしを見た。