…2年前。
あたしが中学3年のとき。




その頃のあたしは何だか苛々してて、
反抗期なのか何なのか、
普段は仲のいい父さんと母さんと
よくケンカしてた。




あまりにもむかついて、その日は外へ飛び出した。
このままケンカを続ければそのうち
父さんと母さんに言ってはいけないことを言ってしまうんじゃないかと思って、夜の街へ飛び出した。




すべてのきっかけは、それだった。




その日から、夜に街へ行くことが当たり前になっていて
そこで出会った仲間たちと結成したのが




"サザンカ"




あたしみたいな中学生もいれば、年上の高校生もいたりしたけど
そのほとんどが、"何か"を抱えていた。




だからこそ、
「困難に打ち勝つ」や
「ひたむきさ」といった花言葉を持つ
"サザンカ"だった。




サザンカを結成して、
あたしの心はどんどん満たされていった。




その頃は普通に声があったからしゃべれるのが当たり前だったし、だから友達もいた。
でもその友達といるよりもサザンカのあいつらといる方が楽しく楽しくて仕方なくて。




青春ってこういうことなんだ、
真の友情ってこういうことなんだ、なんて
ちょっとドラマチックに思ったりもして。




そんなある日の夜、襲いかかってきた敵を返り討ちにしたとき、
その敵に名前を聞かれた。




もちろん本名を教えるわけにはいかないあたしは
"ジンジャー"っと名乗った。




「豊かな心」が花言葉の
ジンジャーを、名乗った。