放課後。
待ちわびたように、生徒たちが続々と、次々と教室を出て行く中、
あたしだけはポツンと、自分の席で停止していた。
ふと、脳裏によぎったのは
あいつらの…
「そうっちょー!大変っす!ヤスの奴がユウキの髪散髪しようとして失敗しやがりました!」
「花火しましょー!」
「ちょっと総長!聞いてくださいよ!コイツ、俺の頭に蚊取り線香乗っけやがったんす!火つけて!やり返していいっすか?」
「総長好きっす!」
「爽さん!」
「あいらぶ爽さんっすー!!!」
「どこまでも総長についていきますよー!」
あいつらの、あいつらとの
懐かしい記憶。
懐かしいと言えるほど昔でもないけれど、
何となく懐かしくて、でもそれは
今のあたしにとってそれは
少し残酷な記憶だった。
でも、あいつらだったらきっと
あいつらがこのクラスにいれば、しゃべれないこんなあたしでもきっと、
そんなん関係ねぇ!って、同じクラスの仲間として仲良くしてくれてたかもしれないな。
そういう奴らだったから。
なんて、今はもう関係ねぇのに、
いつまで経ってもあたしはあいつらに未練たらたら。
ひどいことしたってのに、それでもあいつらとまた…って、
叶わない希望を持ってしまう。
あたしは本当に、ダメな奴だ。
最低だ。
机の横のカバンを、担ぐように肩からかけて
教室を出る。
