その事があった、次の日。
珍しく普通の顔で、
悪い顔をしてない省吾が近づいてきた。
「お前、姉ちゃんに言っとけよ。
録音だれにも知らせんじゃねーぞって。」
そのときは、録音って言われても
何のことかわからなかったけど。
でも、その日から。
「おい柚瑠!俺今日昼飯忘れたんだよ!
その卵焼きくれ!」
「おい柚瑠!姉ちゃんに言ったか!?
あのクソアマ、誰にも言ってないといいんだけど。」
「あ、柚瑠お前消しゴム忘れたんだろ!?
だっせー!
しゃぁねぇなぁ。ほら、やるよ。」
自分の消しゴムをちぎって俺に渡す省吾に、
呆気にとられたけど、
いつの間にか俺たちは仲良くなってて。
「柚瑠、今日俺んち来いよ!
妹がハムスター飼いだしたんだ!
見てぇだろ!?見てぇだろ!?」
『別に見たくねぇ。
でもそこまで言うなら行ってやらなくもない。』
「やっぱ生意気!
でも可愛いな!お前!」
『可愛い言うな!』
こんなやりとりができるようになったのは
全部全部、姉ちゃんのおかげだと思う。
