『これ、先生たちに渡していい?』




「はぁ!?」




『嫌だよね。うん、いいよ。
渡さねぇ。』




「え、」




『でもその代わり、柚瑠をいじめるのはやめろ。』




「うっせ!弱み握ったからって調子乗んじゃねぇよ!」




『柚瑠があんたに何も仕返ししねーのは、
本当に柚瑠が優しい奴だからだ。
自分が何されても、あんたを恨んだりしてねぇ。
そりゃもちろん、むかついたりはしてるだろうけど。
それでもあんたに情けをかけてる。』




「だから何だよ!」




『よかったら、柚瑠とお友達に、』




「ぜってぇやだ!
もう行くし!
それ、携帯、誰かに渡したり聞かせたりしたら
どうなってもしらねぇからな!
クソアマ!」




『クソアマ…おぉ、あたしのことを女だと認識してくれたのか。やったぜ。』




「死ね!」








というのが、
省吾から聞いた話。
本人が、
姉ちゃんの声や口調、表情をマネして
わざわざ俺に見せてくれた。
おもしろかった。
でも悔しいから笑うのは我慢した。