届け!

1人は、
金髪だけど顔だけはしっかり記憶にある。




その向かい側に座るもう1人は、
ものすごく見覚えのある
赤髪の男。




…神谷と、伊月?




あたしが会ったことのある神谷は、
確か黒髪のはず。もっさりの。
そして黒縁のメガネをかけていた。




でも今、伊月と言い合いしている神谷は
そんなマジメくん雰囲気なんて皆無。
もうバリバリの不良だヤンキーだ。
しかし、あのワンコのような顔つきは
喧嘩してても格好が変わっても健在で、
すぐにわかった。神谷だ、と。




そして伊月。
学校ではもっさり黒髪で黒縁メガネ、だけど実は赤髪の
神谷と同じくバリバリのヤンキー。




なぜ、2人が一緒にここにいる。
知り合いだったのか?




まぁ、いてもおかしくはないか。
不良でも寿司が食べたいときくらいあるだろうし。




でも、なぜこんな、偶然…




「だからどうした?爽花。」




輝が眉根を寄せて、顔を覗き込んできた。




…まぁでも、大丈夫だろう。
こっちから声をかけたりしない限り、向こうは気づかないと思うし。




2人から視線を外し、
輝に"なんでもないよ"と口パクで伝えて、
目の前にある食べかけのマグロを口に入れる。




うんまーい。
やっぱいいわ、寿司。