届け!

わかっていた。




だって、猛が不自然だったから。




おうサヤカ、元気か、なんて
こいつは普段そんなこと言わないんだ。
しかも、わざわざこんな時間に部屋に訪れて。




今までもそうだった。




あたしが嫌な思いをした日には、
必ずそうやって現れるのだ。




だから
何かあるな、と思った。




そしたら案の定、そんな質問をされて。




でもその意味がわからない。
だって、嫌なことなんてなかったから。




何が?と口には出せないけど
顔を覗き込む。




「転校、して
声出ねぇこと、クラスの奴らに言ったんだろ?」




コクン、と声なしに頷く。




「嫌なこと、言われなかったか…?
大丈夫か?
いじめられなかったか!?
もし嫌なことされたら言えよ兄ちゃんに!
すぐ飛んできてやっからよ!」




最初は静かだったものの、
途中で声の大きさの制御を忘れてしまったのか、
最後はかなりデカイ、いつものうるっさい声だった。




でも、やっぱり猛が優しくて。




普段からの顔が、般若。
怒っていなくても般若のような顔をしていて、
一目見ただけでヤクザだ!と思われそうな風貌。
声は大きいし、口は悪いし、
すぐ喧嘩するし。




でも、いつでもあたしを心配してくれて、
過保護な程だけど、
それだけあたしを想ってくれている証拠で。