―森―

 街から離れた深く、暗い森の中。今にも崩れそうな建物を蔦が締め付けている。その建物の中には、一人の少女が鎖と足枷をつけて座っている。ガリガリに痩せ、虚ろな目では外の空を眺めている。
 少女は思った。

―誰でもいい。

 少女は鎖で繋がれた手に力を入れて握りしめた。

「助けて…」

小さなかすれるような声は誰にも届かなかった。