「…夢か…」
現実ではないことが分かって少しほっとして
なのに、心のどこかで夢と分かりたくないと思っていて…


「…やばっ、時間ぎりぎりだ…間に合うかな…」
珍しく寝坊してしまった
急いで準備をする

軽くメイクをし始めてふと手を止める
朝日に反射して光る蝶
あの人からもらった、最初で最後のプレゼント

「…数少ない形ある思い出だもんね」
手放すことができない理由は分かっていた

形ある思い出を失うのが怖かった
形のないものは私の胸の中にたくさんある

でも、それが夢ではないと感じることはできない
形のあるものとして手元にないと
全て私の幻想だったのではないか…

そう考えてしまいそうで