雨の日の二人

帰り道はいつものように途中まで一緒に行く
電車を待っていると、優佳が口を開いた
「ねぇ、朱莉はいつになったらあの人を忘れる?」「…え?」


また、あの時と同じようにまじめな顔で聞いてきた

「…もう、忘れたよ」
「嘘つかないでよ、だったらなんで今まで作らなかったの、レモンパイ」
答えるのに戸惑ってしまう
「…それは」「あの人以外に作らなかったじゃん、何で?」

―レモンパイはあの人との思い出だったから
あの日から色褪せない、たくさんの思い出のうちの
一番大切な思い出だったから…―

私が黙ってしまったのをみて、答えを悟ったのか
優佳はため息を一つこぼして再び口を開いた