「小木、テメーは最低のクズ女だ。」


もう俺の頭はパニック状態だ。
吉田がいつもの吉田じゃない・・・!
本当にこれが吉田?!


「はぁ?吉田さんってそんな人だったんだ。」


小木はそう言い終わると、何と吉田の頬を平手打ちしたのだ。


「・・・おい、吉田!大丈夫かよ!」


これは、もう放っておけない。
そう思った俺は吉田の元へ駆けつけた。



「野村くん・・・大丈夫だよ。」


吉田は、こんな状況なのにニコリと笑顔を見せた。
その笑顔は、いつも見せる笑顔と同じ笑顔だった。


「聖也ー!そんな奴の事、心配するの?ウチの事、心配してよ。藤本に彼氏とられそうだったんだよ?」


小木は吉田を心配している俺に向かって甘えた口調で言ってきた。


「黙って聞いてりゃー、彼氏とられそうになったとかウザイんだけど。そんなに男が好きな訳?いっそのこと男になれば?」


この言葉は俺じゃない。
隣にいた吉田が言ったんだ。


「ずっと思ってたけど小木さんって調子乗りすぎ。もしかして女王様にでもなったつもり?バッカじゃないの。アンタなんか低脳の人間でしかないんだよ。」


吉田・・・スゲェ。
俺は、もう驚くよりカッコイイと思ってしまう。


「・・・ふーん。本当に性格悪いね、吉田さんって。」


目は鋭く顔は不気味な顔の小木。
小木も吉田に負けじと反抗する。


「性格悪いのは小木さんの事でしょ。いい加減、馬鹿もここまでだと“大馬鹿”だね。この、低脳。」

「ウザッ。」


小木よりも今は断然に吉田の方が怖い。