窓際の一番後ろの吉田の席の後ろ。
その吉田の席の後ろで女子達が、いつもの様にイジメていたのだ。
だけど、いつもとは違って、イジメられてる藤本が水をかけられたのかびしょ濡れになっている。

そしてその周りには大声で笑っている小木を中心としたグループの女子。
小木達は更にバケツに入っている水を一気に藤本にかける。
クラスのみんなも唖然として見てる。


俺は思わず体が動いた。
これは、いくら何でも放っておけないだろう。
だけど、俺の動きはピタリと止まった。


『ゴメンねぇ、吉田さん。コイツがウザくて。』


その言葉を吉田に言うのはもちろん、小木だ。
吉田の机にも水が、かかったらしい。
本当に、小木達は馬鹿な奴等だ。

もうダメだ。
吉田まで巻き込まれたら俺は許せない。
そう思って俺は再び動く。
だけど、次に聞こえた言葉でまた俺の動きは止まってしまった。


「ウザイ・・・?それは、テメー等の方だろ?笑わせんな、アホ共が。」


吉田・・・?
この言葉を発したのは紛れもなく吉田だった。



「え・・・吉田さん?」


静まりかえる教室に小木の声が響く。
息を呑んで、その光景を見るクラスメイト達。
クラスの皆の顔は今まで見たことのない驚いた顔だった。



「だいたい、アンタ達っていつも迷惑なの。人の気持ちも知らないで。もうアホとしか言い様がねぇーんだよ。アンタ達なんか学校に来る必要なんかねぇから、さっさと帰ろ。」


座り込んでいる藤本をチラッと見た後、小木を睨みつけ吉田は冷たく言い放った。

おい、待て・・・。
これは・・・どういう事だ・・・?
何で吉田がイキナリ怖くなってるんだ・・・・?


「何よウチが悪いわけ?藤本が悪いって言ってるじゃん。ウチの男に色目使ったのよ?!つか吉田さんってそんなキャラだっけ?本当は性格ブスだったんだ。」


そう言うと小木のグループの女子はキャハハと笑い声をあげた。吉田はその言葉に返事を返さない。


「ねぇ吉田さん、藤本みたいにはなりたくないでしょー?」


ニコッと不気味に笑う小木。
これは吉田もイジメるって事か・・・?
馬鹿じゃねぇか・・・?!