緊張した。
かなり心臓バクバクだ。
初めてあんなに話したよな。

話しかけてくれて嬉しいって事は、ウザがられてないって事だよな?
なら嫌われてないって事?
そう思うと自分がどんどんプラス思考になる。

よっしゃ!
明日は今まで以上に話しかけるか!

・・・そんな俺が吉田の「怖いとこ」を見るのはもう少し後のお話。


・・・-

今日も、また俺は吉田を見ている。
というか、ガン見に近いけど・・・。
一度見ると目が離せないほど吉田に吸い込まれてしまう。
俺の席と吉田の席は、そう近くはないけど見える距離だ。


あっ。吉田、消しゴム落とした。
そう思っていると、近くの女子が吉田の消しゴムを拾った。


『吉田さん!消しゴム落ちたよ。はい!』

『あっ、ありがとう!』


そんな吉田達の会話を、盗み聞きして俺は吉田の元へと向かった。
先日借りた折りたたみ傘を返すためだ。


「吉田っ!これ、ありがと。マジで助かった!」


そう言って席に座っている吉田に手渡した。


「あ、うん。あの・・・風邪引かなかった?」

「おう!おかげさまで!バッチリ元気だから!」


会話は、ここで終わったけど俺には最高の時間だった。
それから優の元へ行き、またチラッと吉田を見ると相変わらずジーッと外を見ていた。

そういえば、今日は雨降らないで良かった。
今日も傘を持ってきてないからね。

それからというもの晴れの日が続いた。
俺は、いつものように学校に行く。

グラウンドでは朝練をしている野球部が走っていた。
帰宅部の俺から見ると野球部は青春真っ盛りというイメージがある。
そんなくだらない事を思いながら教室へと足を運ぶ。

教室近くになるとやけに騒がしかった。
いつもこんな騒がしかったか?
これは何かあったんだと思い静ドアを開け急いで教室に入った。

そこで俺が見たのは何とも驚く光景だった。