「構いません。落ち着くまでここに居なさい。」
「ありがとうございます!!」
私はマーサに頭をさげた。
「しかし、名前がないのは困りますね…。」
マーサはそう言うと、
上の天窓を見上げた。
「…ツキ…。」
マーサはボソッと呟いた。
「月?」
私は聞き返した。
「あなたは、名前を思い出すまで『ツキ』と名乗るといいわ。その名前はあなたの記憶を探す手がかりになるはずです。」
「は、はい!ありがとうございます。」
ツキを見て、マーサは微笑んだが、ふっと一瞬暗い顔になった。
しかし、ツキは気づいていなかった。

