今度は、細くて綺麗な女の人が入って来た。


「マーサ様。」

キッカが言う。



マーサは私を見てニコっと微笑んだ。


「初めまして、私はマーサ、この村のいわば占い師です。」

「は、初めまして。」


「そういえば、お前の名前聞いてなかったな。
名前は?何処から来たんだ?」

キッカが私の顔を覗きこむ。

しかし私は答えることが出来ない。



「…わからない。」

私はボソッと言った。


「わかんないってお前…」
キッカがそう言いかけると、

「キッカ、この子の言っていることは本当です。」
と、マーサは言った。


「マーサ様…。」



「私もこの子の記憶を少し探ってみましたが真っ白で何も見えませんでした。」


記憶を探る?
そんなことが出来るの、この人は…?




でも、私に記憶が無いのは事実…これからどうすれば…。



私が不安そうな顔をしていると、マーサは私の頭をそっと撫でた。