「葵、お前もう帰ったんじゃねーの?」

蒼ちゃんは不思議そうな表情を見せる。



「…んー、今帰ろうとしたんだけど、お弁当箱忘れちゃって…」

私は小さく笑う。



今、私はちゃんと笑っているだろうか。



はっきり言って、蒼ちゃんには告白の事も言いたくないし、教室にも戻りたくない。



「は?何でこんな時間まで学校にいんの?」

蒼ちゃんは眉をよせて言う。


「…田辺くんって言う人に呼び出されて…」

小さな、消えそうな声で言った。



私は告白の事を誰にも、特に蒼ちゃんには言いたくない。



昔、中学の時にクラスの男子に告白された時、ちょうど蒼ちゃんがそこにいて私が気まずいのをわかってくれて蒼ちゃんがその男子に、『葵お前と付き合う気ねーから、放っといてくんね?』と言った。


その後、蒼ちゃんとその男子の間に喧嘩が起きて、大変な事になったのを覚えてる。