「今日、森下といい感じだったじゃん」


「え?」


急に奏くんの口から森下の名前が出て驚く。


「俺ら中学一緒だったんだ」


ああ、そうなんだ。


「今日小島さんが仲良さそうにしてたからさ。あいつ、いいヤツでしょ?」


「うん…。いいヤツだね」


でも、何でだろう。奏くんにそう言われるとすごくモヤモヤする。




「あれ?小島?」


うぉっと!噂をすれば森下じゃん!


「こんなとこで何して……
あ、れ?奏?」


森下のところからは奏くんが見えなかったみたいで、近づいてから面食らった顔をした。



「あ、ごめん。取り込み中だった?」


「いや、全然。小島さんのぼせたって言うから様子みてたんだけど、大丈夫そうだし」


奏くんは立ち上がって「俺、保健委員だからさ」と言った。


「あ、そーなんだ。大丈夫か?」


森下が心配そうに見てくる。


「だ、大丈夫大丈夫!全然ヘーキ」


「じゃあ、俺行くね」


奏くんは振り返りもせずに行ってしまった。