恋に恋して恋をする。

「何かさ、今日のさゆ見て思ったんだよね」


窓際の席。


グラウンドのサッカー部を見下ろしながら、つかさがポツリと言った。



「私、亮平も、今までの彼氏も、あんな風に泣いたりしたことないな……って」


つかさは気だるそうにポッキーを唇にはさんだまま言った。


「やっぱさ、あんな風に涙が出たらさ、本物だなぁ~って感じするよね」


「……つかさ、亮平くんと何かあったの?」


「いや、そういうわけじゃないんだけどね、ちょっと思ったっていうか……」


つかさの横顔が赤く夕陽に照らされる。


「亮平さぁ、すっごく私のこと好きなんだよね」


「は?」


私があんまりぽかーんとするもんで、つかさは噴き出して笑った。


「いや、ノロケですかい?」


「ごめんごめん。そうじなくてさ」


つかさはハァーと深呼吸して、落ち着いてから続きを話した。