「36.5℃かぁ……そんなに熱は高くないけどねぇ」


首をかしげる三上先生。


えーえー、そうでしょうよ。
どっこも悪くないんだから。


「どうする?少し横になる?」


「いや、大丈夫です。
気のせいだったのかも」


とりあえず笑ってごまかしておく。


「すいませんでした。失礼します!」


そそくさと出ようとして戸を開ける。


「わーっ!」


ドアのすぐ外に奏くんが立っていて、思わず声をあげる。


びっくりして後ろずさったせいで、薬の入れている棚にぶつかる。


棚がグラついて、上に飾っていたサボテンが転げ落ちた。


私はサボテンだってわかっていたのに、気づいたら手で受け止めていた。