学校内で唯一の自販機を目指して、渡り廊下を歩く。


食堂は薄暗くて静かだったけど、自販機だけが灯りに照らされて青白く光っていた。


「うーん、やっぱ白ブドウかな」


私はいつも選んでしまうお気に入りのマスカットジュースにしようと思って、100円玉を取り出した。


「あっ!」


チャリーン……


投入口に入れ損ねた100円玉が床に落ちる。


そのままコロコロと転がって自販機の下に消えた。


「ぎゃー!うそうそ!ちょっと~!」


慌ててしゃがんだけど、自販機の下は暗くて100円玉の姿は見当たらなかった。


てかホコリとか汚すぎて、手を入れたくない……


「最悪ぅ……」


しょんぼりとサイフの中を確認すると、500円玉が一つと2円……


「ビンボー過ぎる……」


500円はマック用に取っておきたかったんだけど……


「100円マックで何とかなるか」


仕方なく500円玉を自販機に入れる。
けど、すぐにお釣り口に落ちてきた。


「げっ!!」


お釣り切れのランプが赤々と光っている。


「さ、最悪~……」


一体どこまでついてないの?私……