奏くんは例の笑顔でふっと微笑んで、手を伸ばした。


「ありがとう」


私の指先に、そっと奏くんの指先が触れる。


あぁ……ヤバい。


絶対、顔赤い。


「あ、うまい。コレ」


指に着いたチョコをペロリとなめながら奏くんは言った。


「そ、それね、秋限定のモンブラン味なの!友達がくれたんだ。
さっきまで一緒にお弁当食べてたんだけど、カレシが迎えにきちゃって。
もーラブラブで羨ましい羨ましい」



ドキドキと鼓動が早くなって、何でかわからないけど、焦るようにしゃべった。



「てかうちのグループでカレシいないの私だけなんだよ!
もうすぐカレシいない歴17年!あはは!
あ、私、来週誕生日なんだ。24日」


って聞いてないよね~…と笑ってごまかす。


ヤバい!超つまんない会話になってる!



「て、てかさ、奏くんはカノジョいるの?」










……………しーん…






“タイミングじゃない?”


さっきのあっさの言葉が頭の中でこだまする。


すんません…タイミング、ミスりました……