恋に恋して恋をする。

カタン………


戸が開く音がして慌てて顔を上げる。


あっ……!


「あれ、まだ残ってたの?」


か、奏くん!!


「あ、うん!友達とお弁当食べてて」


こんな偶然ある?!もうとっくに帰ったと思ってた……


「奏くんは?部活してたっけ?」


「してないよ。今日は保健委員の当番。部活で怪我するやつとかたまにいるから」



「へ、へぇ~。保健委員って結構大変なんだね」


「んーまぁ、サボるやつもいるし、強制じゃないけど……」


そう言って奏くんはチラリと私を見ると、なぜか黙ってしまった。


微妙な沈黙に耐えかねて、


「あ、ポッキー食べる?」


咄嗟につかさからもらったポッキーをつまんで差し出した。


差し出してから、しまった!箱のほう差し出せばよかった……と、後悔した。


ポッキー1本出されても、受け取りにくいよね……