「カノジョ……いるのかな?」


おにぎりを両手で包み込みながら呟く。


「は?誰が?」


と、すかさずツッコむつかさ。


ぅおっとっと……無意識のうちに声に出てしまったみたい。


「いや、あの、マンガ!マンガの主人公がさ、悩んでんのよ」


「マンガかい」


ガクッとずっこけるつかさ。


「ちはるちゃん、本当にマンガ好きだよね」


さゆちゃんがニコニコと微笑ましそうに見てくる。
まぁ、確かにマンガは大好きなんだけど……。


「あ、そうだ!それでね、その主人公に好きな人がいて、カノジョがいるかどうか聞けなくて悩んでんだけど、どうしたらいいと思う?」


「どうしたら……ってマンガでしょ?」


うおっと……あっささん、そうなんだけど……


「いや、じ、次号続くで気になるっていうか……展開の推理というか……」


「そんなん、普通に聞けばいいじゃん。ねぇ?」


周りに同意を求めるつかさ。


「でもでも、あんまり話したことないのにいきなりカノジョいるか聞いたら、意識してますって言ってるようなもんじゃん!」


「さぁー……そんな話したことないヤツ好きんなったことないからわからん」


ぐっ……身も蓋もないよ、つかささん。


「てか見てたらカノジョいるかくらいわかるんじゃん?」


「でもさゆちゃんみたいに他校の人って場合もあるし」


さゆちゃんは急に自分の話題になって恥ずかしかったのか、うつむきながら卵焼きを頬張った。


「ようはタイミングじゃない?」


一人先にお弁当を食べ終わったあっさが言った。


「普通の会話してさ、誕生日とか趣味とか話題広げていくうちにサラッと聞けばいいんじゃない?
あんまり身構えて聞くほうが不自然だしね」


あっさはお弁当箱を元通りキレイに包み直すと、ごちそうさま、と手を合わせた。


……タイミング、ねぇ。