「俺がつき合えって言えば、そうするの?」


「そ、そうじゃないけど、参考までにと思って……」


「参考、ね」


奏くんは左手の傷口を押さえていたハンカチをそっと外した。


「ごめん。やっぱり血がついたね。洗って返すから」


「い、いいよ!大丈夫」


私は奪い取るようにハンカチを取った。



あれ?流されたのかな?


しばらく沈黙が続いたあと、急に奏くんが切り出した。


「森下とつき合ったら、小島さん楽しいと思う」


「え?」


「お手て繋いで仲良く帰ったり、放課後デートしたり、小島さんが望んでる彼氏になってくれると思う」


「……だから、つき合ったほうがいいってこと?」


「んー……そうだね。そういうことになるのかな」