はじまりは私が 「あいつ」の隣になったことだった。 ――あ、一番後ろだ。 高校の一学期、 初めての席替えは 一番後ろの席になった。 黒板に書かれた座席表を見て、 雨はにんまりと笑顔を浮かべた。 「一学期から一番後ろって ラッキーじゃん私!」 心の中でガッツポーズをした。 そして雨は黒板に目を戻した。 「隣の人は――――。」 ――平山 空。 「ひらやま・・・そら?」 はじまりは私が 「あいつ」の隣になったことだった。