素直に・・・

マンションに向かって歩き始める。
私がつかんだ手は、いつの間にか太田さんと手を繋いでいた。

『彩香ちゃん、かなり飲んでない?』

『え、そうかな~??
 そういえば、お花ありがとう~
 すごく嬉しかった!!』

『喜んでもらえてよかった。』

『何で彩香ちゃんって呼ぶの?
 手紙には“彩香”て書いてあったのに~』


思ったことを口に出してしまった。


『彩香って呼んでもいいの?』

『勿論だよ~!
 彩香って呼んで~』

『分かった。
 じゃ~彩香も俺のこと名前で呼んで。』

『それはダメ。』

『何でだよ~
 名前で呼ばなければ返事しない!』

急に子供っぽくなった太田さん。
何だかかわいい~

『いいも~ん、
 返事されなくても。』



マンションの中に入り、部屋まで送ってもらう。
明日も仕事があるのに、遅くまで着き合わせてしまった。
悪かったかな~

玄関の前で

『太田さん、おやすみなさい』

『・・・・・』

本当に返事してくれないんだ・・・

『太田さん、おやすみなさい!!!』

まだ無視・・・
でも帰ろうとしない。
私が名前を言うのを待ってるんだね。