俺は呆然としていた。 「あなた、南王子にぶつかっておいてそれはないでしょ!」 「そうよ!」 「だから、謝りました。誠にスイマセン。」 それだけ言って立ち去った。 そのあと、取り巻きに何か言われたが、記憶にない。 俺の頭はあの女でいっぱいだった。 どうして頬を赤くせず、逆に嫌な顔をする? 俺は不思議で仕方ない反面、あの女に興味を抱いていた。 初めてだ…あんな女。 俺の心で何かが沸き上がってきたのを感じた。 その正体を知るのはまだ先の話……