百合がいた。 『・・・陸・・・ごめんね・・・ありがとう』 手を差し伸べると百合の手が俺を掴んだ。 あのひんやりとした冷たい手ではなく、暖かい手だ。 にっこりと幸せそうに微笑んで、そしてすぅっと消えていく。 「百合っ!」 百合・・・ 俺を許してくれるのか・・・? いや、お前は初めから俺を憎んでなんかいない。 お前を殻に閉じ込めたのは俺だ。 大きな傷にしてしまったのは俺だ。 百合は最初から俺を暖かく見守っていてくれたのに。 ごめんな。 百合はずっと側で笑っていてくれたのに・・・