羽をくれた君~side陸~【完】



百合がいた。




『・・・陸・・・ごめんね・・・ありがとう』





手を差し伸べると百合の手が俺を掴んだ。


あのひんやりとした冷たい手ではなく、暖かい手だ。



にっこりと幸せそうに微笑んで、そしてすぅっと消えていく。




「百合っ!」







百合・・・



俺を許してくれるのか・・・?



いや、お前は初めから俺を憎んでなんかいない。



お前を殻に閉じ込めたのは俺だ。


大きな傷にしてしまったのは俺だ。


百合は最初から俺を暖かく見守っていてくれたのに。




ごめんな。


百合はずっと側で笑っていてくれたのに・・・