羽をくれた君~side陸~【完】


この前会った時よりも少し若い。


じゃああのガキは俺なのか・・・?



「もうお別れの時間だ。そんなに泣くと目が腫れてしまうよ」


「いやだいやだ。佐々木さんいなくなっちゃうんでしょ!?」



思い出した。



あれは佐々木さんが岩沢を辞めた日。


俺は施設の誰もいない所で大泣きしていた。



「ああ、確かに今までのように毎日会う事はできなくなるけどね、一生会えなくなるわけじゃないんだよ?」


「お母さんも俺を邪魔で捨てたんだ!佐々木さんだって俺と離れても平気なんでしょ!?俺なんていなくても・・・」


「あ!陸くん!」



その瞬間、小さい頃の自分と重なりあう。


必死に走って施設を飛び出した。


後ろから佐々木さんが追ってきているが全力疾走で走る。



「はぁ・・・はぁ・・・」



いつの間にか百合が命を絶ったあのマンションの屋上にいた。