「あ・・・こんなのすぐ消えるよ」


奈緒が言い終わるのと同時に、俺は痣の部分をなぞるようにキスを落とした。




「アザは消えても、お前ん中であいつにされた事はずっと消えねーだろ」



「・・・消えるよ」


「え?」


「陸さんさえいればあんな事忘れられる。だってずっとそうだったもん。
陸さんに会うまで、毎日が暗くて嫌で嫌でどうしようもなかったの。
死にたいとも思ってた・・・でも陸さんと出会って、付き合って・・・毎日が輝いてた。
毎日が陸さんでいっぱいだったの・・・
だからあいつのことも忘れられてた。本当だよ・・・!?」



「おまえは・・・なんでそうまっすぐなんだよ?」




俺は・・・こいつのこういう所に惹かれた。



素直に真っすぐぶつかってきてくれる所に。



どんなに酷い事をしてもこんな俺を信じると。



お前といると固まった心が解けていくような感じがするよ。



だからこいつに聞いてもらいたいと思った。




俺の事を・・・



百合の事を。