その時、栞が鎖の鍵を見つけ、奈緒を自由にしてくれた。
栞と奈緒が部屋を出ていく時、何度も振り返り俺を心配そうに見つめていた。
2人が出て行ったあと、俺は即効親父の顔面を殴った。後ろから羽交い絞めにしていた亮も支えるのがいっぱいいっぱいな様子だったが、俺は我慢できなかった。
何度も何度も殴った。
原形がなくなるくらい殴り続けた。
拳に痛みを感じたがこんなのはどうってことない。
あいつの。奈緒の傷みからしたらこのくらいなんでもねんだよ。
白目をむき、ぐったりとした親父を見て亮が言った。
「陸、それぐらいにしとけ!これ以上やっちまうとマジ死ぬぞ!」
「・・・死んだっていんだよこんなヤロー!くたばりやがれ!」
亮は親父を離して俺の手を止めた。
親父は意識をなくしていて、その場に倒れこんだ。
「いい加減にしろよ!てめーも犯罪者になりてーのか!」
亮の真剣なまなざしに俺は我に返った。
「さっきサツ呼んだからな。俺らの単車早く移動させるぞ!」
バタバタと外へ出て行く亮の後姿を見つめ、静かに視線を下に向けると泡を吹いて倒れているくそ親父がいた。



