羽をくれた君~side陸~【完】


迷っている暇なんかない。


もしかしたら今あいつは・・・


もうあの時のような思いは沢山だ。


後悔はしたくない。


百合の二の舞にはさせない。


今度こそ


俺が、この手で守ってみせる。





奈緒が前にぼんやりと話していた家の住所を思いだし、単車を走らせる。


しかし亮達の姿は見当たらない。


しばらく住宅街を周っていると、亮の単車が一軒家の前で停まっているのが目に入った。


立派な門構えにそこそこでかい家は、奈緒が裕福な暮らしをしていたという事を物語っている。


でもきっと何も満たされてはいなかったはずだ。



単車を人目の付かない場所に移動し、玄関へ向かうと、亮と栞がインターフォンの前で悪戦苦闘していた。




俺は2人を押しのけて、玄関のドアノブを握る。



「陸!?」


「陸さん!?」



2人は驚いていたが、俺が微笑むと安心したような笑顔を見せた。