でも俺は百合を忘れることはできない。
奈緒を愛す資格なんてない。
だからあいつは俺なんかと別れたほうがいいんだ。
親父にだって必要とされてんだろ。家に戻って普通の生活に戻った方が・・・
“奈緒んち、本当のお父さんじゃなくて・・・それになんかそいつ様子おかしくて逃げる奈緒を追いかけてったって言うし・・・”
栞の言葉が頭をよぎった。
あいつ・・・逃げるほど親が嫌なのか?
その時、奈緒が初めて泊まった日の夜に見た、腕の痣を思い出した。
あの日、親と喧嘩して家出してきたって言ってたよな。
まさか・・・
俺は玄関に置いてある単車の鍵を取って家を飛び出した。
アクセルを思いっきりふかす。
以前に奈緒が言っていた。家は月見ヶ丘の方だと。
今飛ばせば亮達に追いつくだろう。



